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今さら占う2008プロ野球~読売ジャイアンツ編

僕の得意分野だけに、開幕までに書こう書こうと思っていたら、とっくに開幕してしまったプロ野球。今さらながら、今年のプロ野球をいろんな意味で盛り上げてくれそうな、くりまる注目のチームをピックアップして、見解と展望を述べていこう。記念すべき第一回には、いろんな意味で注目の読売ジャイアンツを持ってこよう。

「アンチ巨人」は無意味

とかくめんどくさいチームで、プロ野球、特にセ・リーグに興味を持ったら、まず「巨人ファン」か「アンチ巨人」かの立場を明確にしなければならないらしい。そして、アンチジャイアンツの人が、セ・リーグの他チームのファンという寸法になる。この順序は逆でもよく(というか、逆のパターンの方が多いだろう)、例えば

  • 「広島生まれだからカープファン」→「カープはビンボーで意地悪されてる」→「金持ちで恵まれてるジャイアンツがキライ」
    ・・・古いカープファンに最も多いパターン
  • 「関西人だからタイガースが好き」→「ライバルのジャイアンツは巨大補強ばかりして憎い」
    ・・・じゃあタイガースの補強は?というツッコミは無用なんだそうな
  • 「東京在住だけど、とにかく拝金主義のジャイアンツが大嫌い」→「だから同じ東京でもスワローズファン」
    ・・・東京在住のリベラルなプロ野球ファンに多いパターン

とかいうのが、ありがちなパターンだろう。ビジター球場で我が物顔のタイガースファンがキライだとか、カープがイモいからキライだとかいうのは聞いたことがあるが、いずれもジャイアンツにおけるアンチを超える概念にはなり得ない。この辺を紐解くには、正力元オーナーの「アンチ巨人も巨人ファン」という名言に遡ると分かりやすい。アンチだ何だと騒ぐのは、要はこの「ジャイアンツVSその他」という球団が作った戦略的対立構造、つまりアンチにもジャイアンツ中継を見てもらおうという戦略に踊らされているだけなのである。 また、「巨人が負けたらスカッとする」「自分の応援するチームが負けても、巨人が負ければトントン」などと言っている人がよくいるが、彼らは言わば、逆説的ジャイアンツファンなのである。

かく言う僕も、20世紀終わりごろまでは所謂「アンチ巨人」だった。当時、作ったばかりのWebサイトには、プロフィール欄に「キライなものは、犬とジャイアンツ」と書いており、「どんな美人でも犬好きとジャイアンツファンとは付き合えん」などと公言していた。今から思うとアホだし、若かった。ある時ふと、自分が今まで踊らされてきた気がついてから、このスパイラルを抜け出そうと、「ジャイアンツをキライになることをやめる」という、世にもバカくさい努力をした。その結果、ジャイアンツは憎たらしくも何ともなく、いろんな意味で面白いチームだということに気づき、そのスタンスは現在も続けている。従って僕は、「巨人ファン」でも「アンチ巨人」でもない。僕にとってのジャイアンツは、非常に良い選手を抱えていながら、ネタに事欠かない面白チームである。

中継ぎ投手とスター性

さて、今年の話に移ろう。近年、ジャイアンツは、「投手が点を取られなければ負けない」というノムラの教えに10年遅れで気づいたらしく、見た目の重量打線もさることながら、投手の補強にもかなり力を入れている。しかし、足りないものは補強に頼ってしまうことが、他チームの姥捨て山になってしまうことにはまだ気づいていないあたりに、このチームの弱点がある。門倉や野口は、もはやジャイアンツファンも忘却の彼方だろう。とはいえ、先発投手陣は、上原、高橋尚、内海、グライシンガー、木佐貫、野間口、金刃、姜と、若手からベテランまで全員が2桁勝利してもおかしくないスター布陣で、余った野口と門倉と辻内(ケガだけど)が腐ってるくらいである。この先発陣ならば、多少のケガ人が出ても問題ではない。勝ちパターンの豊田―クルーンにつなぐまで先発陣が踏ん張れるくらいチームがかみ合えば、今年は圧倒的大差で優勝しても何ら不思議ではない。

個人的には、先発陣のポイントとして内海に期待している。2000年、敦賀気比高時代にオリックスの指名を拒否してから8年、入団拒否→社会人→逆指名のパターンを経た選手は大成しないというジンクスを乗り越え、左腕の大先輩カネヤンの本名や実績が言えずにドン広岡に大喝されながらも、へこまずにエース格まで成長した図太さの前に、押しつけがましい伝統やプレッシャーなど無用である。

問題があるとすれば、豊田につなぐ前の中継ぎである。この役目を、ここ10年くらいのジャイアンツで最も完璧にこなした條辺は、もはやうどん屋である。スター性も華もないフランケン西村と、育成上がりの山口に多くを求めるのは、普遍的スター性を第一とするジャイアンツには、ちと酷ではないか。ちなみに西村健太朗投手には、こんなエピソードがある。地元テレビ局が広陵高校を取材し、野球部の追っかけ女子高生たちに好きな選手を聞くと、口を揃えて「キャプテンの藤田くん」と答えたが、「じゃあ、エースの西村くんは?」と訊くと、彼女たちは「え~、ヤダ~、西村キモイ」と答えたそうな。西村自身にインタビューしても、「アー」と「ウー」しか答えないという純真無垢なセンバツ優勝投手が、大都会東京でどう汚れていったのか、別段興味はない。

巨大補強の「免罪符」

打線に関しては、これがファミスタなら圧倒的なんだが、現実のプロ野球ではそうもいかないことは、長嶋監督時代に経験済みである。だが、姥捨て山現象のおかげで、ほとんどが30歳以上。全員が全試合出場できるとはとても思えない。そういう意味では、期待の若手すなわち巨大補強の「免罪符」として日テレで繰り返し放映されて全国区になった坂本内野手がキーマンと言える。無理やり作られたマーケティング的かつ免罪符的な期待に押しつぶされることなく、もらったチャンスを活かしてどれほどやれるかに、これからのジャイアンツの若手の在り方がかかっている。彼を野手版のうどんや条辺にしないためにも、球団の育て方や環境づくりはもちろん、報道の在り方も再考してもらいたい。なんか、注目され始めた歳も、条辺と似通ってるしなぁ。

あと気になるのは、脇谷とか亀井とか矢野とか鈴木とかの野手陣。彼らは若手だったはずなのに、いつの間にか若手とは言えない年齢に達している。彼らくらいの歳(25~30歳)の選手が出場機会に恵まれず、山本功児や四條や福王や最近だと後藤のように「ツウ好みの選手」として終わっていくのはどうなんだろう。他球団では、彼らくらいの歳でレギュラーを取っている野手は多いのに。常勝を義務付けられているという球団の伝統と思惑は難解である。

圧倒的優勝による実証経済学

ジャイアンツはここ10年で何回か優勝しているが(回数を調べるのがメンドクサイので勘弁)、森監督時代のライオンズのように圧倒的大差で優勝したことはない。ジャイアンツ人気=プロ野球人気ではないことは、色々な媒体でさまざま言われているし、僕自身、様々な球場での観戦経験や最近のスポーツニュースの伝え方(例えば、ジャイアンツより先に、ダルビッシュが長々と報じられることもしばしば)から、その通りだと思う。ジャイアンツ人気=プロ野球人気だと思っているのは、ロッテはまだ川崎球場にいて、ガラガラの観客席で試合を尻目に観客が流しそうめんやキスに興じてるのがパ・リーグだと未だに思っている人と、SMAP中居くんと徳光さんくらいだろう。

しかし、読売の中の人(選手ではなく首脳陣)と僕の後学のために、一度くらい、8月前半にマジック点灯→10ゲーム以上離して優勝→クライマックスシリーズ連勝→日本シリーズ4連勝で制覇して、視聴率やら観客動員やら野球人気やらにどれくらいの効果を与えるのかを実証してほしい。メークドラマやメークなんとかという誤魔化しの優勝ではなく、他チームがゲンナリするくらいの圧倒的優勝である。

街頭テレビ時代の大衆娯楽としてプロ野球とプロレスがよく挙げれるが、娯楽の多様化に伴い、プロレスは確実に沈んだ。一方のプロ野球はどうか。V9時代を例にとることは時代錯誤でナンセンスであり、近年における実証がないから、巨大補強の経済効果が測れないのである。ジャイアンツが「球界の盟主」であり、ジャイアンツの圧勝が(首脳陣が言うところの)プロ野球人気の回復につながるという仮説を立てるなら、読売の中の人が考えることは、少なくともテレビ中継の削減ではないはずだ。

つまり、今年のジャイアンツの圧勝による実証経済学が、今後のジャイアンツの身の振り方と、テレビ中継の利権でジャイアンツにぶら下がるセ・リーグ各球団の取るべき行動を決定づけるはずなのである。「球界の盟主」を名乗る球団に課せられた使命は、当然ながら他球団よりも遥かに重い。

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