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プロ野球を10倍つまらなく見る方法 Archive
今さら占う2008プロ野球~読売ジャイアンツ編
- 2008-04-04 (金)
- プロ野球を10倍つまらなく見る方法
僕の得意分野だけに、開幕までに書こう書こうと思っていたら、とっくに開幕してしまったプロ野球。今さらながら、今年のプロ野球をいろんな意味で盛り上げてくれそうな、くりまる注目のチームをピックアップして、見解と展望を述べていこう。記念すべき第一回には、いろんな意味で注目の読売ジャイアンツを持ってこよう。
「アンチ巨人」は無意味
とかくめんどくさいチームで、プロ野球、特にセ・リーグに興味を持ったら、まず「巨人ファン」か「アンチ巨人」かの立場を明確にしなければならないらしい。そして、アンチジャイアンツの人が、セ・リーグの他チームのファンという寸法になる。この順序は逆でもよく(というか、逆のパターンの方が多いだろう)、例えば
- 「広島生まれだからカープファン」→「カープはビンボーで意地悪されてる」→「金持ちで恵まれてるジャイアンツがキライ」
・・・古いカープファンに最も多いパターン - 「関西人だからタイガースが好き」→「ライバルのジャイアンツは巨大補強ばかりして憎い」
・・・じゃあタイガースの補強は?というツッコミは無用なんだそうな - 「東京在住だけど、とにかく拝金主義のジャイアンツが大嫌い」→「だから同じ東京でもスワローズファン」
・・・東京在住のリベラルなプロ野球ファンに多いパターン
とかいうのが、ありがちなパターンだろう。ビジター球場で我が物顔のタイガースファンがキライだとか、カープがイモいからキライだとかいうのは聞いたことがあるが、いずれもジャイアンツにおけるアンチを超える概念にはなり得ない。この辺を紐解くには、正力元オーナーの「アンチ巨人も巨人ファン」という名言に遡ると分かりやすい。アンチだ何だと騒ぐのは、要はこの「ジャイアンツVSその他」という球団が作った戦略的対立構造、つまりアンチにもジャイアンツ中継を見てもらおうという戦略に踊らされているだけなのである。 また、「巨人が負けたらスカッとする」「自分の応援するチームが負けても、巨人が負ければトントン」などと言っている人がよくいるが、彼らは言わば、逆説的ジャイアンツファンなのである。
かく言う僕も、20世紀終わりごろまでは所謂「アンチ巨人」だった。当時、作ったばかりのWebサイトには、プロフィール欄に「キライなものは、犬とジャイアンツ」と書いており、「どんな美人でも犬好きとジャイアンツファンとは付き合えん」などと公言していた。今から思うとアホだし、若かった。ある時ふと、自分が今まで踊らされてきた気がついてから、このスパイラルを抜け出そうと、「ジャイアンツをキライになることをやめる」という、世にもバカくさい努力をした。その結果、ジャイアンツは憎たらしくも何ともなく、いろんな意味で面白いチームだということに気づき、そのスタンスは現在も続けている。従って僕は、「巨人ファン」でも「アンチ巨人」でもない。僕にとってのジャイアンツは、非常に良い選手を抱えていながら、ネタに事欠かない面白チームである。
中継ぎ投手とスター性
さて、今年の話に移ろう。近年、ジャイアンツは、「投手が点を取られなければ負けない」というノムラの教えに10年遅れで気づいたらしく、見た目の重量打線もさることながら、投手の補強にもかなり力を入れている。しかし、足りないものは補強に頼ってしまうことが、他チームの姥捨て山になってしまうことにはまだ気づいていないあたりに、このチームの弱点がある。門倉や野口は、もはやジャイアンツファンも忘却の彼方だろう。とはいえ、先発投手陣は、上原、高橋尚、内海、グライシンガー、木佐貫、野間口、金刃、姜と、若手からベテランまで全員が2桁勝利してもおかしくないスター布陣で、余った野口と門倉と辻内(ケガだけど)が腐ってるくらいである。この先発陣ならば、多少のケガ人が出ても問題ではない。勝ちパターンの豊田―クルーンにつなぐまで先発陣が踏ん張れるくらいチームがかみ合えば、今年は圧倒的大差で優勝しても何ら不思議ではない。
個人的には、先発陣のポイントとして内海に期待している。2000年、敦賀気比高時代にオリックスの指名を拒否してから8年、入団拒否→社会人→逆指名のパターンを経た選手は大成しないというジンクスを乗り越え、左腕の大先輩カネヤンの本名や実績が言えずにドン広岡に大喝されながらも、へこまずにエース格まで成長した図太さの前に、押しつけがましい伝統やプレッシャーなど無用である。
問題があるとすれば、豊田につなぐ前の中継ぎである。この役目を、ここ10年くらいのジャイアンツで最も完璧にこなした條辺は、もはやうどん屋である。スター性も華もないフランケン西村と、育成上がりの山口に多くを求めるのは、普遍的スター性を第一とするジャイアンツには、ちと酷ではないか。ちなみに西村健太朗投手には、こんなエピソードがある。地元テレビ局が広陵高校を取材し、野球部の追っかけ女子高生たちに好きな選手を聞くと、口を揃えて「キャプテンの藤田くん」と答えたが、「じゃあ、エースの西村くんは?」と訊くと、彼女たちは「え~、ヤダ~、西村キモイ」と答えたそうな。西村自身にインタビューしても、「アー」と「ウー」しか答えないという純真無垢なセンバツ優勝投手が、大都会東京でどう汚れていったのか、別段興味はない。
巨大補強の「免罪符」
打線に関しては、これがファミスタなら圧倒的なんだが、現実のプロ野球ではそうもいかないことは、長嶋監督時代に経験済みである。だが、姥捨て山現象のおかげで、ほとんどが30歳以上。全員が全試合出場できるとはとても思えない。そういう意味では、期待の若手すなわち巨大補強の「免罪符」として日テレで繰り返し放映されて全国区になった坂本内野手がキーマンと言える。無理やり作られたマーケティング的かつ免罪符的な期待に押しつぶされることなく、もらったチャンスを活かしてどれほどやれるかに、これからのジャイアンツの若手の在り方がかかっている。彼を野手版のうどんや条辺にしないためにも、球団の育て方や環境づくりはもちろん、報道の在り方も再考してもらいたい。なんか、注目され始めた歳も、条辺と似通ってるしなぁ。
あと気になるのは、脇谷とか亀井とか矢野とか鈴木とかの野手陣。彼らは若手だったはずなのに、いつの間にか若手とは言えない年齢に達している。彼らくらいの歳(25~30歳)の選手が出場機会に恵まれず、山本功児や四條や福王や最近だと後藤のように「ツウ好みの選手」として終わっていくのはどうなんだろう。他球団では、彼らくらいの歳でレギュラーを取っている野手は多いのに。常勝を義務付けられているという球団の伝統と思惑は難解である。
圧倒的優勝による実証経済学
ジャイアンツはここ10年で何回か優勝しているが(回数を調べるのがメンドクサイので勘弁)、森監督時代のライオンズのように圧倒的大差で優勝したことはない。ジャイアンツ人気=プロ野球人気ではないことは、色々な媒体でさまざま言われているし、僕自身、様々な球場での観戦経験や最近のスポーツニュースの伝え方(例えば、ジャイアンツより先に、ダルビッシュが長々と報じられることもしばしば)から、その通りだと思う。ジャイアンツ人気=プロ野球人気だと思っているのは、ロッテはまだ川崎球場にいて、ガラガラの観客席で試合を尻目に観客が流しそうめんやキスに興じてるのがパ・リーグだと未だに思っている人と、SMAP中居くんと徳光さんくらいだろう。
しかし、読売の中の人(選手ではなく首脳陣)と僕の後学のために、一度くらい、8月前半にマジック点灯→10ゲーム以上離して優勝→クライマックスシリーズ連勝→日本シリーズ4連勝で制覇して、視聴率やら観客動員やら野球人気やらにどれくらいの効果を与えるのかを実証してほしい。メークドラマやメークなんとかという誤魔化しの優勝ではなく、他チームがゲンナリするくらいの圧倒的優勝である。
街頭テレビ時代の大衆娯楽としてプロ野球とプロレスがよく挙げれるが、娯楽の多様化に伴い、プロレスは確実に沈んだ。一方のプロ野球はどうか。V9時代を例にとることは時代錯誤でナンセンスであり、近年における実証がないから、巨大補強の経済効果が測れないのである。ジャイアンツが「球界の盟主」であり、ジャイアンツの圧勝が(首脳陣が言うところの)プロ野球人気の回復につながるという仮説を立てるなら、読売の中の人が考えることは、少なくともテレビ中継の削減ではないはずだ。
つまり、今年のジャイアンツの圧勝による実証経済学が、今後のジャイアンツの身の振り方と、テレビ中継の利権でジャイアンツにぶら下がるセ・リーグ各球団の取るべき行動を決定づけるはずなのである。「球界の盟主」を名乗る球団に課せられた使命は、当然ながら他球団よりも遥かに重い。
ジェレミー・カルテル?
- 2008-03-06 (木)
- プロ野球を10倍つまらなく見る方法
あまり調べてはいないが、ジェレミー・パウエル投手の二重契約問題は、きっとずいぶんとネット上でも議論されているんだろう。報道されているだけの情報をあつめて、僕のような一般ピーポーが一体どれくらいの分析を加えられるのかは分からないが、一つだけ納得のいかないことがある。「ソフトバンクは、なぜオリックスに連絡して確認を取らずにパウエル獲得に動いたのか」である。
この問題は、実は単純でいて釈然としないが、鍵はソフトバンク竹内COOの以下の発言にありそうである。
「日本では統一契約書が正式な所属を決定づける文書。営業、経営面と違い、勝つための編成案件はすべて競争。われわれはカルテル集団ではない」
上記の「カルテル発言」を掲載しているのが、数あるスポーツ新聞の中でもソフトバンクの地元の西日本スポーツであり、記事の題名も「パウエル横取り ホークス オリと遺恨ぼっ発!!」という、とても地元紙とは思えないものであることも興味深いが、今回はそれについては深くツッコまない。
ここでちょっと余談。僕はソフトバンクの携帯を使用している。賛否両論あれど(否の方が多い気もする)固定概念や既存のパラダイムをぶち壊して、元公社系や第二電電系の携帯キャリアに立ち向かっていくソフトバンクの企業姿勢は、細かいことを抜きにすれば僕は好意的にみている。ホワイトプランが実は大して安くないとか、割賦縛りがキツイくせに0円表示してるとか、そういうプロセスの怪は百も承知だが、結果としてドコモやauが追従してプランや販売方法を抜本的に見直しているところを見ると、Vodafoneのような外資企業でも成しえなかったことをしているのは確かである。同じことはソフトバンクのADSL事業にも言え、ISDNの次は光ファイバという計画を着々と進めていたNTTに立ち向かい、NTTの戦略を変えさせたのもソフトバンクである(モデムレンタル制度の怪しさ云々は略)。
閑話休題、今回の二重契約問題に関しても、既存の馴れ合い体制に一石を投じたという見方ができる。江川事件と同じく、弁護士であるコミッショナーも気づかぬ抜け穴が野球協約等々にあったというわけだ。だが、通信キャリアとして確固たる地位を築いたソフトバンクが、オリックスに対してなぜ電話の一本、メールの一通を出せなかったのか。その答えは、前述の竹内COOのカルテル発言にあると思う。つまり、彼等はプロ野球の球団という「事業」を、ADSL事業や携帯キャリア事業と同様に、既存の妖怪どもを退治して新しいパラダイムを創出すべく進めていこうと考えており、「ソフトバンク球団はカルテルではない」=「パの他球団はカルテルであり、それには加わらない」と言い張っているのである。
プロ野球がカルテルであるかどうか、またその是非に関する議論は、非常に複雑困難であるが、これについて僕は一つだけ思い当たることがあった。それは、読売ジャイアンツの渡邉恒雄会長がその昔、長嶋監督の頃に大補強をした際、「資本主義だから、ビンボーなYsやCはパ・リーグに行け」というような趣旨の発言があったことである。僕はアンチGでも何でもないが、プロ野球という特殊な市場の中で、現実の自由競争主義と同じ考え方を持ち込もうとしていることに妙な違和感を覚えた記憶がある。今回の竹内COOの発言も、そう考えれば同類のものとして受け取れないか。もう一度問おう。新規参入に大きな壁を設けているプロ野球は、本当に自由競争主義であるべきなのか?
この件については、連盟や高野連、ドラフト制度などを絡めると書ききれないので、本当は僕なりの意見があるのだが、別の機会に譲ろう。ともかく、自由競争とは言い切れない箱庭の世界において、現実の自由競争主義を持ち出し、カルテルじゃないからと言って、つまらんトラブル回避のための電話一本も掛けない。昨年未勝利のパウエルがそこまでして欲しかったのか。ソフトバンクのその後の戦略は、いろんな意味で巧妙かつ素晴らしい。会見における通訳の根回しから始まり、パウエルをキャンプに呼んだり、神様である王監督と面会しているところを全国放送で垂れ流し、結果、コミッショナーを巻き込んで全面勝利という格好になった。パウエルの言い分を真に受ければオリックスの不手際も多々あるだろうが、対するオリックスはそれを指をくわえて見ているしかなく、ドン宮内がお出ましになるわけでもなく、かといって中村勝広本部長が阪神監督時代よろしく燃える男になるわけでもなく、大恥をかいただけである。
ファンの立場からは、この件をどう受け止めるのだろうか。オリックスファンとしては、来たくないと言ってる外人にムリに来てもらうこともなく、デイビーが昨年比二倍、馬車馬のように頑張るだろうから、むしろパウエルをソフトバンクに突き返すくらいでいいだろうが、ソフトバンクファンの受け止め方は想像できない。そもそも、ガトームソン、スタンドリッジと先発完投型2桁勝利級の外人ピッチャーが在籍しているのに、さらにパウエルっていうのがよく分からないんですが。まぁ、「五輪に3人以上選手を派遣したチームは外国人枠臨時拡大」とかいう制度の活用をしたたかに睨んでるのかもしれないし、何よりカズミ今季絶望の環境下で王監督の花道を飾るためには、手段を選べないってコトかな。うん、きっとそうだ。くすぶってる若手ピッチャーもいるだろうに、神様が監督だとメンドクサイですな。
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